2025-07-18

[WRAVEE]毛織物とデザインの依存性

皆様こんにちは、

いかがお過ごしでしょうか。

愛知県岡崎市にてセレクトショップ

abundantism(アバン)をしております、樋口と申します。

先日、インスタグラムでもお伝えしましたが、

この度、WRAVEE のPOPUP を開催することになりました!

今回のブログは、WRAVEE(ラヴィ―)のご紹介と共に、

WRAVEEが使用する生地を作っている

尾州・一宮の葛利毛織(くずりけおり)さんでの

工場見学へ伺ったときの様子もお届けします。

愛知岡崎からは高速で1時間ちょっとの場所にある一宮。

ちなみに一宮は、僕の地元である岩倉市の横。

高校は一宮の高校だったので、もうほぼ地元です。

岩倉市は愛知県で一番小さい市なので、チャリですぐに一宮市にいけるんです。

ついてすぐ出迎えてくれたのは

WRAVEE のお二人。

右側 ) 葛利毛織さんでも働く上村さん。

左側 ) デザイナーのゆかさん。

お二人との出会いはMATOYAさんのご紹介でアバンに来て下さったところからはじまりました。

上村さんと僕は同い年ということもあり

「この世代からのものづくりや業界に提示していきたいものもあるよね。」

という話から、その一歩として、

今回POPUPをする運びとなりました。

この記事の冒頭を見ると

WRAVEE は葛利毛織さんのファクトリーブランドなのか。

と、思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

WRAVEE は

上村さんとゆかさんがはじめたインディペンデントなブランドです。

葛利毛織という生地作りの内側にいるからこそ思う、疑問や可能性。

僕のお店もそうですが、個人や独立的な動きをするきっかけってやはりそこだと思うんです。

大きなもの、多数のもの、当たり前に疑問を抱く。

だから工場・会社という動きの中ではなく

あくまでも、独立した個の舵切りができる形を選んでいるのかなと思います。

デザインを担当する ゆかさん は生地が活きるようなパターンメイキングをしているように感じます。

生地ありき、でも逆を言えば、デザインありきで生地が活きる。

両者が互いに依存することで “いい服” になります。

そのスタンスがとても好きです。

優しく、柔らかなお二人ですが

内側から感じるあっちぃものがあります。

そのあちさに共鳴しました。

クセのあるものが多いアバンからすると

美しく凛とした服は久しぶりの登場かと思います。

我々のセレクトは 見た目 という表層的な括りではなく

深部を知ることができる、教養のある服。

ファッションという消費的な業界の中で

いかに積み重ねられるか。

そんなことを考えながら、WRAVEEをご提案させて頂きます。

【葛利毛織工業株式会社】

さて、そんなお二人が使う生地を生産する工場をご紹介します。

愛知県は一宮にある

葛利毛織工業

創業は1912年。

100年以上の歴史ある会社です。

建物自体が

国の登録有形文化財に指定されています。

こういった木造建築です。

登録有形文化財になると

文化庁に申請しないと工事や修繕ができないそうです。

国からこの建物を守るよう任されているというわけです。

今回は我々と、

お二人とも関わりのあるHOTEL ANGLEを運営される飯田さんと共に

工場見学に伺いました。

本物のウールで作られたぬいぐるみが

工場の中に住んでました。

本物のウールで作られたぬいぐるみは高いぞ、きっと。

工場内ではションヘル織り機が鳴り響きます。

地声で喋っても聞き取れません。

いつも解説はマイクで行うそうです。

それくらい大きな音を立てながら生地を織っています。

葛利毛織は世界のメゾンブランドからも信頼される織物工場です。

世界の葛利毛織ともなると工場見学に来る方も多いそうで、

その度の解説にかかる人件費や設備費がかかっても

「歴史や文化があるからこそ、葛利毛織や尾州ウールの存在を後世に伝えていくべきだ。」

という姿勢が感じられます。

そういった点から

この生地がどういった背景を持ち合わせているのかが見えてきます。

ベテランの背中

これがシャトルです。

これに糸を引っ掛けて、左右に、高速で動き

ン、シャン、ン、シャン と裏拍のビートを刻み生地が織られていきます。

とんでもないスピードで動くので

万が一、シャトルがレーンから外れ、人に当たったら

最悪、死に至るほどの威力とスピードなんだそうです。

それを聞いてから

一歩下がりましたよね。

ルーペで生地の織られた組織を見ます。

組織図と呼ばれる

織り方の図案を元に

生地が作られていきます。

生地の設計図ですね。

傀儡(くぐつ)使いのカンクロウも驚くほどの糸の数。

相当な手だれです。

昭和初期の織り機なので、今は生産はされていません。

今あるものを壊れても直して使い続けていきます。

一台で一日に10メートルから20メートルほどしか生地が織れないそうです。

非効率ではありますが

だからこそ出せる生地の風合いがあります。

“いいものづくり” の世界線に効率を求めるだけのビジネスオンリーの基準を持ち込むのは野暮です。

無理があります。

ションヘル織り機の低速ならではの負荷の少ない柔らかな風合いに仕上がります。

織り方の工程を学ぶべく

僕も実際に作業させて頂きました。

間違えたらB品になってしまう。。

先程の組織図を見ながら緻密な作業です。

織られた生地は、下でロールに巻かれていきます。

ご紹介できていない工程はもちろんありますが、こういった一つ一つの工程を経て生地が作られます。

WRAVEE の生地はオリジナルです。

オリジナルにはオリジナルで作るべき理由があります。

 

毛織物という歴史に敬意は払い、WRAVEEらしさを追究するものづくり。

今もなお、品質や機能を更新し続ける毛織物の可能性をぜひ肌で感じてみてください。

[ WRAVEE POPUP ]

※受注生産にて承ります。納品は11月頃を予定しております。

▶期間 7/26(土)-8/11(月) 金土日月の営業日(8/5のみ臨時営業)

▶場所 abundantism 愛知県岡崎市籠田町13

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